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【最新発明情報】同位体効果を評価する方法

簡便な計算方法により従来法に匹敵する精度で短時間に同位体効果を予測することができます。従来法で問題となっていた計算コストを大幅に削減します。

背景

分子内の原子を異なる同位体に置換することで化合物の反応性や物性等に変化が生じることを「同位体効果」といいます。この効果を利用することで、化学反応の反応速度や有機合成の収率、発光現象における量子収率を向上させることができます。こうした制御を確実に行うためには、分子の中でも、その反応速度や物性に影響を与える位置にある原子を同位体に置換することが必要です。しかし、同位体で置換する位置と同位体効果の関係については、これまでに合理的な法則が見出されていません。そのため、従来は、様々な位置の原子を同位体に置換して得られる多様な同位体置換化合物ごとに逐一精密な計算をして同位体効果を予測しなければならず、所望の同位体効果を示す同位体置換化合物を設計するために莫大な計算時間を要してしまうため、実用的では無いという課題がありました。

発明概要と利点

発明者らは、簡便な計算方法により短時間で、かつ従来法に匹敵する精度で同位体効果を予測できる方法を開発しました。本発明では、同位体置換前の化合物の原子ごとに算出される評価値を用いて同位体効果への寄与を原子ごとに把握できます。これにより従来の膨大な計算をしなくても同位体効果の置換位置依存性を知ることができ、従来法に比べて計算コストを大幅に抑え、精度よく物質や化学反応を設計することができます。

  • 簡便・短時間・従来法に匹敵する精度で同位体効果を予測
  • 同位体置換による反応促進や抑制の簡便な予測
  • 同位体置換による有機物の劣化や分解の抑制、合成収率の向上
図 本発明の同位体効果評価方法の評価手順の一例

本発明の評価方法により、同位体置換前の解析から、各水素原子を置換した場合の評価(マイナス値が出ている箇所は収率などが「向上」することを示す)

研究段階

本発明の評価方法を用いて、同位体置換前の解析のみに基づいて、各水素を同位体置換したときに、ゼロ点振動エネルギーによる同位体効果にどのように寄与するかを明らかにした。

適応分野

  • 有機材料の劣化の抑制
  • 重水素化医薬品
  • 有機材料の製造

希望の連携形態

  • 実施許諾契約
  • オプション契約(技術検討のためのF/S)

※本発明は京都大学から特許出願中です。

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有機反応において同位体置換、特に重水素化を行うと反応が促進または抑制されます。本技術は同位体効果の分子の構成原子ごとの寄与を同位体置換前の電子状態・振動構造から算出することができます。                      

京都大学産学連携担当(株式会社TLO京都)担当:清水基宏より

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