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【JT×京大オリジナル】“TaKK”~たばこの価値を考えまくる~

たばこ・嗜好品の価値や本質を探る

人文学・社会科学的な知識・ノウハウを活用し、“たばこの価値とは?お客様とは?R&Dグループが実現すべきこととは?”をひたすら考えく“TaKK”(Tabacco Kachi Kyodai /たばこ・価値・京大)プロジェクトを進行しています。
R&Dグループは経営学・心理学のアプローチで同様のテーマに取り組んだことはありましたが、人文学・社会科学的な観点を取り入れたのは今回がはじめて。このプロジェクトはあえてゴールを設定せず、ひたすら考える過程を大切にしています。京都大学の研究機関等にヒアリングを行うことで複合的に知見を取り入れ、R&Dグループの活動について考え抜く、そんなプロジェクトです。

Project Member
プロジェクトメンバー

技術開発 唐来 博之Hiroyuki Torai
たばこ製品の材料技術の開発を担当。本プロジェクトには「JTがすべきことは何か?」というテーマをもってディスカッションメンバーとして参加。

製品開発 馬場 真太郎Shintaro Baba
製品開発の戦略策定や組織横断プロジェクトのマネジメント等を担当。本プロジェクトには「10年後のたばこづくりとは?」を探るというテーマをもってべくディスカッションメンバーとして参加。

研究開発支援 貫戸 和香子Wakako Kanto
R&Dグループで開催する研修やワークショップなどの企画・運営を担当。本プロジェクトには(株)京大オリジナルとJTの窓口兼ディスカッションメンバーとして参加。

京大オリジナル株式会社 夏目 典明Noriaki Natsume
京大オリジナル株式会社にて主に民間企業向けコンサルティング業務等に従事。本プロジェクトでは、JTと京大のつなぎ役かつディスカッションメンバーとして議論のリーディングを行う。

Project Story
プロジェクトストーリー

1.ー 背景 ー
プロジェクト発足のきっかけはSDGsだった。

R&Dグループでは、数年ほど前から、SDGs(持続可能な開発目標)を眼目においた場合、どのような“ものづくり”ができるかを考えてきました。ただ、SDGsは簡単なテーマではありません。そこで、外部の視点・考えを取り入れようと、京大オリジナル株式会社 コンサルタントの夏目典明さんの力を借りることになったのです。

プロジェクト発足時、夏目さんは“たばこ製品や嗜好品、JTの事業の価値とは?”というそもそも論を R&Dグループのプロジェクトメンバーに投げかけました。SDGsを考えるにあたって、“自社や自社商品が社会に提供する価値”を把握していることが重要ですが、それらに対して表面的な理解のまま進めると要がなく、いつか空中分解してしまいます。

「“そもそも論”からはじめませんか。」それが夏目さんからの提案でした。
プロジェクトメンバーは、普段からたばこ製品や嗜好品の価値について思いを巡らしながら研究開発活動に従事しているものの、やはり当事者ならではのバイアスがかかった見方や考え方になる傾向があります。
そのため、京都大学の先生方や夏目さんからの問いをゼロからとことん悩み、考え抜く、その過程に重きを置き、あえてプロジェクトのゴールを設定しませんでした。
したがって、このプロジェクトは当初のSDGsに対する具体的な策を見出すことを目標にせず、たばこ製品や嗜好品の歴史や文化、価値観の変遷を多角的に見渡し、本質を見出すために議論を重ねる場と定められたのです。

2.ー アプローチ ー
“好き”とは何?“集団”とは何?“文化”とは何?考えを巡らせた。

“そもそも論”を考え、理解するためには、人文学・社会科学的な知識やノウハウが有効であるということから、京都大学・学際融合教育研究推進センター 宮野公樹准教授と議論の場を設け、時には雑談を交えながら、自由に意見交換をしました。宮野准教授より多くの突っ込み(指摘)を頂き、その中からピックアップしたキーワードについて各自で考え、メンバー間で意見交換する。これを繰り返し行い、議論を進めていきました。

例えば、選好の形成過程というテーマで議論が行われました。夏目さんによると、人が物事を“好き”になるには3段階の階層があり、第1階層は、動物としてのヒトの学習を通じて獲得する“好き”。第2階層は、自分にとっての損得やメリット・デメリットを考え、判断していく過程を通じて獲得する“好き”になるもの。第3階層は、哲学で語られる真・善・美のように、より崇高で観念的な“好き”。「その選好の形成過程を、たばこに置き換えてみるとユニークな視点が得られた」といいます。メンバーの1人はこのように考えました。「第1階層は、たばこの味が単純においしくて、リフレッシュできるので“好き”。第2階層は、喫煙所等でのコミュニケーションとしてのたばこが“好き”。第3階層は、大人の嗜みのシンボルとして“好き”。」

さらに、文化や集団についてのユニークな考察も展開されました。○○はかっこいいと同じ意見をもつ集団ができたり、それを真似する集団ができたりするが、その行動とは何なのかという新たな問いが生まれ、そもそも“文化”、“集団”とは何なのか、どう形成されるのかということを考えることになりました。宮崎県の幸島に生息する野生のニホンザルが海水で芋を洗って食べ、それを周囲のサルたちも真似るようになり、やがては島全体に広がったという有名な話から、「文化は、ある集団内でこれまでの常識から離れた逸脱した行動をとった個体から発生するのではないか」という仮説をたて、芋洗いのサルをたばこ業界に置き換えてみるなど、思う存分考えを巡らせました。
このように人文学・社会科学的な知見を活用しながら、たばこの価値、ある意味集団であるお客様やR&Dグループ、そしてR&Dグループの活動について、ひたすら考え抜くことを繰り返してきました。

3.ー 成果 ー
“たばこの価値や本質は何なのか?”
共通の答えを持つよりも、一人ひとりがその問いを考え抜くことが大切である。

「このプロジェクトはまだ完了していません。そのため、まだ成果はまとまっていませんが、プロジェクトで得た人文学の知識や思考プロセスは、今後のR&Dグループの活動で重宝されるはずです。」メンバーたちはプロジェクトにおいて大切にしていたことをこのように語ります。
幾度となく議論を重ねても、たばこの価値・本質はひとつには収束しません。しかし、大切なのは唯一の答えではなく、R&Dグループメンバーの一人ひとりがたばこの価値・本質について真剣に考え続け、自分なりの考えを持ち、それを実務に反映していくこと。そのために必要となる価値観や主義・主張、それを裏付ける経験は、当然ながらどこかから借りてくるものではありません。自分のなかでつくるもの。その過程こそが、プロジェクトの醍醐味です。

現代社会を飛び交う情報量は膨大で、そのスピードや変化も凄まじい。近年のたばこ市場の変化もめまぐるしいものです。そういった情報や変化に対して受動的に対応するのではなく、自分のなかに1本の芯を持ち、芯に従ってものづくりを実践することがR&Dグループの底力になると思います。どこかに落ちている答えを拾いに行くのではなく、正解があるのかないのかわからないものを捻り出す、その過程を経験し、吸収することに大きな意味があります。

プロジェクトの始まりはSDGsだったものの、紙巻たばこから加熱式たばこへ需要がシフトしつつあるなか、R&Dグループが未来に向けて進むべきものづくりについて考えるとき、「たばこの価値や本質は何なのか?」という大きなテーマに改めて向き合うことは非常に有益なことだったとメンバーたちは振り返ります。それを見出そうとする過程で、将来のものづくりの絵を描くこともできるでしょう。その絵のなかに、SDGsへの答えも包含されているに違いありません。

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