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[豊通物流×京大オリジナル 対談]企業のSDGs推進に、産学連携で取り組む価値とは。

企業において、SDGsへの取り組みは経営の根幹になりつつあります。しかし、具体的にどのように導入・推進していけばよいのか。社内への理解促進から意識向上、さらに、具体的な施策や事業活動への落とし込みに課題を感じる企業は多いのではないでしょうか。

今回は、そんな企業のSDGs推進に産学連携で取り組むことを思い立ち、実際に実現させた豊通物流の松元氏と、そのプロジェクトの計画立案からサポートを手がける京大オリジナルの夏目氏に、当初のきっかけからプロジェクトを進めていく際の心境、SDGs推進を産学連携でおこなう意義などについて語っていただきました。

企業のSDGs推進を産学連携でできないか。きっかけはYouTube配信イベント

夏目 今回のプロジェクトが始まるきかっけについてですが、2021年の3月25日におこなわれたYouTube配信イベント「京大オリジナルと考える京大とのコラボ~Open your・・・」をご覧いただいたことがきっかけで、京大オリジナルのほうにご連絡をいただいたんですよね。

そのころはどういう課題を感じでいたのでしょう?

松元 弊社では、2019年度から、SDGsや組織開発、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)などの取り組みを始めていたのですが、当時いろんなものが節目を迎える時期で、SDGsの取り組みについてもちょうど次の展開を迎える時期だったんですね。

夏目 それは具体的にはどういう?

松元 2019年度は、「SDGsって、そもそも何なの?」ということについて、社内で説明会などを開いてまず考え方を浸透させる取り組みをおこないました。それを踏まえ2020年度は、「なぜ豊通物流でSDGsに取り組むのか」ということを考えていったんですね。

その検討の中で、「『環境にいいことだから』とか『社会課題を解決するため』だとか言うけど、『SDGsってやらないといけないからやることなの?』」という議論になってきたんです。そうではなくて、「みんなのやりたいことも両立させたSDGsじゃないの?」って。そこから、豊通物流としてのSDGs推進ビジョン「私たちの働き甲斐が未来の地球の幸せを創る」が生まれたんです。

夏目 うんうん。

松元 で、そこからいよいよこのSDGs推進ビジョンのもと、「何をやっていくのか」を決めていくことになるのですが、それが21年の2月ごろ。

ちょうどその時期に「open your…」を拝見させてもらったら、酒井先生と内田先生が出ていらしたんですよね。そこで先生が、「最近は技術開発での競争よりも、人を幸せにする製品開発が盛んなように感じていて、そういった製品を開発する上で、心理学分野の問い合わせが増えている」とおっしゃっていたんです。これって私たちが今進めているのと同じことを言っているんじゃなかと思って大いに共感したんです。

夏目 なるほど。

松元 産学連携で何かをしたいという思いは2019年当初からあったんですが、まだ当時はSDGsなんてまったく普及していないし、産学連携の概念も、「技術移転によって新しい製品を生み出すこと」みたいな狭い意味での認識しかされていないご時世だったと思うんです。

でも我々の会社は製造業ではないし、社会インフラとなる物流をやっている会社で、産学連携で技術移転という形がイメージできなかったんですよね。その時に先生たちの話など聞いて、もしかしたらこういう形の産学連携もありかもって瞬間的に思ったんです。

それですぐ、その配信中にコメントを入れさせてもらいました。

夏目 ああ、覚えてます。

松元 覚えてます!?それで、「何か繋がることってできませんかね?」ってコメントをしたら、「あ、面白いですね」っておっしゃっていただいて、そこが1番のきっかけだったかもしれないですね。

夏目 それで、弊社のほうにご連絡をいただいたと。

そこから私と松元様とで何度かお打ち合わせをさせていただいて、松元様が抱えておられる課題意識や考えていることなどを聞かせていただいた後で、「それでは私のほうでちょっと考えて提案させてもらいますね」ということになり、ご提案したのがフェーズ1の提案書になるんですよね。

松元 そうです、そうです。夏目さん的には、今回のプロジェクトをどう設計していこうという最初の思いみたいなものってあったんですか?

夏目 私自身、昔から人文学や社会科学というものに魅力を感じている人間でして、これらの学問には、抽象的な概念をきちんと見つめて分析していく力など、いろいろな力があると思っているんです。

先ほどの話にもありましたが、産学連携というと技術移転分野のイメージが強いですが、「人文学・社会科学の分野にもものすごい力がありますよ」と私は思っているので、そういった学問の知見を軸としたプロジェクト設計にしようというふうに考えました。

そこで、人文学や社会科学の先生方にご協力いただくことを念頭に提案書を作成してご提案させていただいたんです。

「幸せ」について語り合うことから始まったプロジェクト フェーズ1

夏目 そこから弊社も参加させていただいてプロジェクトが実際に動いていくわけですが、2021年度のフェーズ1のころはまだ経営企画部に閉じてやっていたんですよね。

豊通物流様で設定したSDGs推進ビジョンを踏まえて、「幸せ」について考えるところから始りましたが、正直あれどう思いました?

松元 いきなり哲学書などの文献を並べて、「幸せとは」みたいなテーマで話し合うところから始まりましたもんね。

私は何でも最初から突き詰めて考えることを信条としているほうなので、まったく違和感はなかったですが、他のメンバーは面食らったと思います(笑)。

夏目 最初は「何コレ?」みたいな反応をされる方もおられましたもんね(笑)。

でも、自分で言うのも変ですが、あの過程があったからその後の先生方とのセッションがより深く理解できて結果的によいフェーズになったと思っています。

松元 いや、本当。まさにそうですよね。

夏目 プロジェクトのスタートが7月ぐらい。で、夏から秋ごろにかけて、そういった文献をもとにディスカッションをしたり、ミニワークショップみたいなものを経営企画部内でおこない、少し知識や考え方を身につけた後に、酒井先生や内田先生にも来ていただいてお話をしていただいたんですよね。

あの辺りはどのように感じておられました?

松元 いや、私、「open your…」の時から先生方にものすごく親和性を感じていて。お話のひとつひとつが刺さるんですよね。

例えば、酒井先生が、「みんな小さいころはかくれんぼするだろう。それなのに大人になると、見える化見える化って言って全部オープンにしようとするじゃないか」っておっしゃっていたのをすごく覚えてるんですよ。世の中の動きと人間本来の動きが真逆だよねって。

私が常日頃から思ってることを言語化してもらった気がして、「ああ、一緒のことを考えている人がいる」って思ったのがとっても印象的だったんですよね。

松元 他にもすごく共感した話があって。最近の子どもは、与えられるものは何でも安全だと思うよねっていうやつ。

私もめっちゃ思うんですよ。なんか、危機管理能力が本当に薄れてきているなって。

私たちの会社もそうですけど、危険と隣り合わせの仕事って多いですよね。製造業などもそうだと思うんですが、それをいかに回避するかというと、やっぱり日頃から危険を予知しておかないといけないと思うんですよね。なのに今の世の中って、もう最初から危険を排除しようとする。

夏目 うんうん。

松元 私もそうですけど、親がすぐ「それ危ないからやめて、こっちで遊んで」って、遊び方を指定しちゃう。それじゃあ危険を察知する能力なんて養えないですよね。

酒井先生の話で、私はそういうことも含めての持続可能性だと感じていたことを改めて認識できました。

夏目 人文学・社会科学などさまざまな研究をされている先生方の視点で社会の移り変わりを見ていくことで、新たな気づきや自分の中の言語化できていなかった思いが発見できる。そこがまさにこの分野の力の一つなんですよね。

松元 確かに!そうですよね。

夏目 そういった先生方ともお話していただいた後に、フェーズ1のアウトプットではSDGsを進めていく上での方針を取りまとめましたが、あれは役に立っていますか?

松元 もちろん!もちろん役立っています。大きな3方針やマテリアリティ(重要課題)等、フェーズ1で取りまとめたことに従って、その後、複数のプロジェクトが形成されています。例えば、従業員エンゲージメントの取り組みであったり、また、京大オリジナルとのフェーズ2の取り組みもそうです。夏目さんもご存知のいくつかの取り組みがまさに、あの3方針に基づいて作られていっているところです。

夏目 あー、なるほど。それはよかったです。ありがとうございます。

フェーズ1よりもさらに衝撃度が増していくプロジェクト フェーズ2

夏目 フェーズ1が終了し、その中で作った3方針の1つとして、2022年度にフェーズ2を実施させていただきました。

フェーズ2は平たく言うと、これまで経営企画部内で進めてきた取り組みの枠を広げて、社員の方々に新規事業開発とか戦略的CSRを考えていただいて、最終的に経営層に提案するっていうプロジェクトでしたよね。

最初は宮野先生のお話からスタートしたと思うんですが、いかがでした?

松元 なかなかの衝撃でした(笑)。

夏目 (笑)。

松元 でも、非常に良い機会だったと考えています。

そもそも、なぜこのプロジェクトの提案を夏目さんにお願いしたかというのが実はとても重要なんですが、整理すると、まず2020年に我々がSDGsの推進ビジョンを決めて、そこから何をしていくかというところで、2021年に、夏目さんにご協力いただいて豊通物流としての3方針とSDGsのマテリアリティを決めました。つまり、20年度はWHY(なぜSDGsに取り込むのか)の年、21年度はWHAT(何を取り組むのか)の年だったんですよね。

で、2022年はというと新規事業開発、HOW(新しいことをどうやってやっていくか)の年だったんですね。

夏目 なるほど。

松元 でも、新規事業を開発していくといっても、我々は物流のことしか知らないわけですよ。そんな私たちが、狭い世界の中で考えても新しいものなんて生まれるわけないと思ったんです。こんな状態じゃ絶対うまくいかないなと。だからまず、自分たちがどれだけものを知らないかということを知らなきゃいけないと思って。

だから京都大学じゃないといけなかったんですよ、“知の倉庫”じゃないと。自分たちが知らないことってこんなにあるんだよって、まざまざと見せつけてくれる機関じゃないとダメだったんですよ。だから、ただのコンサルじゃダメで。夏目さんじゃないとダメだったんですよね。

夏目 私はただのコンサルですけどね(笑)。いや、でもおっしゃってることすごくわかります。先生方の知識や考え方はものすごいですよね。

松元 そうそう、京都大学という“知の倉庫”。ここ以上にものを知っているところって他にないだろうなと思って。だから京大オリジナルにプロジェクト設計やファシリテートをお願いしたんです。

そしたらやっぱり期待通り、まずは宮野先生とのワークショップから始まったじゃないですか。私は、みんなに自分が何も知らないということを本当に知ってほしいと思っていたので、大成功だったんですよ。みんなものすごく面食らってましたもんね。今振り返ってもあの衝撃はよかったと思います。

夏目 「問いとは何か?」から始まりましたね。みんな「?」みたいな。

松元 そうそう(笑)。「問いってなんだっけ?」みたいな。本当に衝撃でした。

夏目 宮野先生に何度かお話をいただいて、その後に、同県ということもあって、アートの分野から愛知県立芸術大学の白河先生にも来ていただいたんですよね。

松元 そうそうそう(笑)、みんな相当面食らってましたよ。

ああいう先生方の人選ってどうやって考えているんですか?

夏目 そうですね。松元様たちが抱えている課題などを一旦私の方で整理して、理解して、それから先生方の研究内容をお調べして、この先生方が新和性高いんじゃないかというのをご提案するっていう流れですかね。

松元 いやーどの先生方もドンピシャの人選でした。

夏目 でもそうやって、いろいろなセッションを重ねていって、参加された皆様はどうだったんですかね?

松元 いろんなことを感じてもらったと思います。最初は恐怖だったと思うんですよ、知らないことを突きつけられるのは。頭を鈍器で殴られるような感覚があったと思います。宮野先生が魂に働きかけるように語ってくださったじゃないですか。あれで相当恐怖心を抱いたと思います。人が魂をこめてしゃべると恐いんだって。私は自分の周りにどれだけそんな人がいなかったのか改めて気づきました。

夏目 なるほど、そういうのもあったんですね。私は逆に、そういう感覚はもう鈍ってしまっているかもしれないです。先生方はそういうパワーに溢れた方たちが多いので。

松元 だってしゃべり終わった後に手がしびれたっておっしゃってたんですよ、そんな人いないですよ。

夏目 うんうん。

松元 だからまず恐怖から始まったんですよね、白河先生もそうですし、クリエイティブな仕事をしている人と携わったことがないから、そういう人の考え方ってこんなんなの?ってそこでまた衝撃。

しかも最後の宮野先生の時は、我々が京都に行ったじゃないですか。

夏目 ああ、橘会館ですね。

松元 そうそう。橘会館に来て改めて宮野先生にお会いしたときに恐怖心が飛んだんですよ。「この人、人間だったんだ」って。言葉悪いですけど(笑)。普通の人間がしゃべってたんだって感覚になって。それで場所って大事だなと気づいたんですよ。

夏目 ああ、確かにそうですね。

松元 で、時間も大事だなと。京都まで40分、新幹線に乗って宮野先生に会いに行く。そこで切り替えができたんですよね。5分10分で会議室を移動するんじゃなくて、この40分の新幹線の時間が大事だったんですよね。

夏目 なるほど。

松元 京都っていう我々にとっては特別で非日常的な場所で、かつ橘会館だったじゃないですか。そういう場所に約1時間かけて来て、人間だと思ってなかった人と喋る(笑)。

そういうあまりにも普段と違うことをあの期間で次々とやったんです。そしたら、その時間とか、空間とか、仕事について考えることとか、先生方とお話したすべての内容が、ものすごく体に染み込んでいった感じがしましたよね。だから、すっごいよかったです。ああいうのを体験価値っていうんですかね。

いよいよフェーズ2の大詰め。社員の意識を変え、経営層の心を動かした発表会

夏目 その後も、社員の方々と私のほうで1on1ミーティングや調査をさせていただいたり、いろんな先生方にも個別のディスカッションに協力いただきました。そして、新規事業や戦略的CSRについて4つほどテーマを具体化し、最終的に経営報告の場で6名のメンバーが発表されたんですよね。

残念ながらご体調が優れず松元様は当日ご不在でしたが、あの発表の動画ってもう見られました?

松元 ものすごく雰囲気よかったやつでしょ?

夏目 確か一人目の提案で、役員の方が、「産学連携も含めて進めるべき」とおっしゃっていただいて。

松元 私も正直どうなるかなーと思いながら見てたんですが、全体的にほっこりしてましたよね。

夏目 他の方の提案もとてもよかったと感じています。

フェーズ2では、宮野先生など、その他にも何人かの先生にお話に来ていただきましたが、それらがきっかけになって心境が変わったんだろうなっていうのが伝わってきて。最後に「今まではこんなこと言ってはいけないと思っていたんですが、思い切って提案しました」っていう発言をされた方もいたんですが、まさに“内なる声”に従ったんだなと思いましたよね。

松元 ですよね、それぞれの個性がすごく出たなって気がしました。全員の提案があんなに好評だとは。

自分を見つめ直して、本当にやりたいと思ったことを、自分の言葉で熱意を持って伝えれば、あんな空気が生み出せるんだって彼らに教えられました。

夏目 本当にそうですよね。

松元 私が今回のプロジェクトを夏目さんにお願いしたときに、次世代リーダーの育成がプロセスにほしいですって話したと思うんですね。

夏目 うんうん。

松元 まさに、そこだと思っているんですよ。熱意を持って人に説明できるとか、その熱意で周りを引っ張っていくっていうんですかね。リーダーシップというか、そういうのを学んでほしかったから、ああーそうなったなって。それも今回の成果として本当によかったと思います。

夏目 座学ではなく、実践を通じて、「やるべき系」だった思考が、「やりたい系」に変わったんですかね。

松元 変わりましたね。そして、メンバーだけでなく、経営層が求めるものも変わってきたように思います。「もっと自分たちがやりたいことを提案してきなさい」って言うんですよ。あの発表会のときの話をすると、やっぱりみんなやろうやろうってなるんですよ。進めていく上での具体的なことも話し合うんですが、総じてみんな前向きというか、いい反応が返ってきます。

フェーズ1・2が終わり来期はフェーズ3へ。SDGs推進を産学連携で取り組んでみて思うこと

夏目 今後は、2023年度に向けてフェーズ2で作り上げたものを実行していく段階ですよね。発表会での提案にあったテーマの一つでは、すでに大学発ベンチャーの候補をリストアップさせていただきながら、動き始めている部分もありますが。

松元 いよいよフェーズ3。これからですよね。

夏目 ここまでの区切りとして、今回のプロジェクトでSDGsに関して社内の意識の変化などは感じますか?

松元 そうですね。初年度の2019年ごろは、まだ世の中的にもそこまでSDGsって騒がれていなかったと思うんですよ。

夏目 今ほどテレビなどで見なかったですよね。

松元 この2、3年でずいぶん変わったなと思うんですけど。19年度は社内でも「SDGs?何なのそれ」みたいな感じがあって、私が説明しても「ふーん」みたいな感じだったんです。けど、今になって社員の話を聞くと、SDGsに取り組んでいる会社でよかったって言うんですよね。

夏目 変わりましたね。

松元 そういう気持ちが社員たちに芽生えているから、やってよかったなと思います。

夏目 まだプロジェクトは続いていきますが、改めてこのプロジェクトでの弊社との連携とか、繋がりを通じて良かったことや悪かったことがあればお聞かせください。

松元 いや、もういいことだらけですよ(笑)。やっぱりそれは、大学が“知の倉庫”だから。だから京大オリジナルじゃないとダメで、コンサルティングができるならどこでもいいかって言ったらそうじゃないんです。いかに知らないことを見せてもらえるか。

夏目 我々ももっと頑張らないと。

松元 京大オリジナルさんには、これからもそれを続けてほしいと思っているんですよ。京大オリジナルには、何でも話せるし、ここまでの経緯とか、それこそ中期経営計画の策定もご一緒していただいて、社内でのSDGsの浸透度合いも肌で感じてもらって、それを戦略に落とし込んでくださるプロセスってめちゃくちゃ大事で。

それって、どれだけ話しても伝わらないんですよ。一緒に体験して、共感してもらって、それを計画として落とし込んでもらうのって、一蓮托生でやってくれる人じゃないと無理だと思うんですよ。

夏目 あーそれは確かに。先生方は研究や教育の時間も大切なので、特定企業との一蓮托生な活動ばかりに時間を多く割けない。だからこそ、橋渡し役の我々がその時間を担うんだと考えています。

松元 そうそう。そしてその上で、我々が支払うお金が大学にも渡るって思ったら、めちゃくちゃ三方よしですよね。

夏目 なるほど、なるほど。

松元 数日前の新聞にも出ていたじゃないですか。これから日本はノーベル賞をとる人が減るよ、いなくなるよって。

弊社がそれに対してほんの少しでも貢献できればすごく好循環だなって思うんです。そもそもそれが産学連携の意義でもあるじゃないですか。

夏目 いやー本当に。大学には素敵な研究をされている先生方が大勢いらっしゃって、そういう方々の話を聞くと、私もそうですけどやっぱり世界観が変わるというか、そういう知見をもっと世の中にお伝えしていきたいですよね。

松元 ぜひ今後もお力添えを。

最後に、お互いのこれからの目標について

夏目 松元さんの今後の展望などありましたらお聞かせいただけますか?

松元 今後の展望ですか?また変な話になりますけど、もうちょっと日本を元気にしたい。

今日本が元気じゃない理由ってやっぱり中堅企業だと思っていて。それこそ我々の会社ぐらいの、創業50年、60年っていう会社が元気ないんですよね。一番疲弊している。やらないといけないことに追われて、でも、そのやらないといけないことが今後奪われていくっていう構図じゃないですか。

これは私たちの会社だけじゃなくて世の中的にそうなってるし、24年問題とかって言われるぐらい物流の業界って、これから人がいなくなってドライバーもいなくなるっていう時代に突入していきますよね。

だからこそ、SDGsというか、持続可能性ですよね。サステナビリティだと思うんですよ。それをもっと真剣に考えていかないとなって思います。

夏目 我々も、もっとそういう企業のお力になっていければと思います。疲弊してきているならば、大学に来て、お茶しながら話してもらって。

松元 そうそうそうそうそう。

夏目 先生もおっしゃっていましたもんね。最初は大学にガラクタを集めに来るだけでいいんだって。それが何かのきっかけになるかもしれないし。

松元 そうそう。大学をそういう場にしてもらえればいいのにって思いますよね。

夏目 我々も、そういう関係をつなぐ機会をもっと増やしていけるように頑張っていきたいと思います。本日はありがとうございました。

松元 こちらこそありがとうございました。

編集・撮影:中澤 舟

プロジェクトに従事した産学連携担当者
京大オリジナル株式会社 ソリューションデザイン事業部 夏目 典明
京都大学 理学研究科 宇宙物理学専攻卒業の後、
野村総合研究所コンサルティング事業本部に入社。
多種多様なコンサルティングプロジェクトに従事する中で、日本の産学連携に何か貢献したいと考えるようになり、京大オリジナル株式会社に転職。現在、同社ソリューションデザイン事業部にて、日々奮闘中。

今後も産学連携情報プラットフォーム Philo-では、アカデミアの新たな取り組みや、企業活動を捉え直すきっかけを発信していきたいと思っております。今後もご注目ください。
様々な分野の方の声をお届けしていきます。我々と一緒に、遠い未来像を思索し、世界的な諸課題をどう解決していくかについて議論しませんか? 
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